戦艦武蔵

戦艦大和が不沈艦どころか設計ミスの欠陥品だった

沖縄特攻のせいか戦艦大和は日本の心みたいな、そんな特別な扱いを受けています。

 

戦艦武蔵が魚雷を20本を受けて沈没した。
「武蔵はすごい」
戦艦大和が片舷に魚雷10本を集中的に受けて沈没した。
「やっぱり大和はすごい」

ちょっと待ってください。
戦艦の水中防御と言うのは、魚雷を受けた区画の水中防御以外には浸水させないはずです。

ところが、大和、武蔵は広範囲に浸水しています。
ましてや、大和・武蔵は巨大な船腹を持っているので、縦深な水中防御があれば、魚雷が100発命中しようが笑っていられるはずです。

水中防御ってそういうもの?

戦艦ビスマルクって、イギリスの雷撃機や駆逐艦から多数の雷撃を受けていますが
水中防御区画以外に浸水した話は聞きません。
実際、ジェームズ・キャメロンさんが潜水艇を使って海底に眠る戦艦ビスマルクを調査した結果、水中防御区画の背後の装甲板に破壊はなかったことがわかっています。
戦艦ビスマルクは自沈で沈みました。
(戦艦ビスマルク砲撃指揮官の著書「巨大戦艦ビスマルク」を参照してください)

追記:ドイツ戦艦シャルンホルストはイギリス艦隊の魚雷11本で沈没しています。

 

まず、砲弾に対する防御、魚雷に対する防御はまったく方向性が違うということを認識することから始まります。

 

砲弾に対する防御とは

 

砲弾に対する防御は、砲弾が当たった所の装甲の硬さ・柔軟さ・厚さで、砲弾の運動エネルギーと熱に変換されたエネルギーに耐えることです。

砲弾(徹甲弾)が命中すると、砲弾の弾頭(鋼鉄)が変形し、発生した熱で装甲板を破ろうとします。
装甲板が硬さ・割れに対する柔軟さ・厚さが十分あれば、砲弾の弾頭が先に破壊され、爆発せずに弾き飛ばされます。
硬さ・厚さが足りなければ、砲弾がつき破り、爆発で飛び散った断片が船体内部を破壊します。

 

魚雷に対する水中防御とは

 

水中防御とは広範囲の圧力を鋼板の柔らかさで受け止めるものです。

魚雷の火薬が爆発した高熱で、周囲の水を水蒸気爆発を発生させ、魚雷が命中した周囲に巨大な圧力をかけます。
一部の外板は衝突と爆発の圧力で破けるかもしれません。
でも、圧力を複数の層の薄くて柔らかい鋼板で柔軟に受け止めることで水の侵入を防ぎます。

このため、鋼板と鋼板の接続には溶接が適しています。
鋼板と鋼板をリベットで接続すると、リベットにのみ過大な横方向の力が働くため、リベットを剪断してしまいます。

だから、水中防御には溶接が適切と言われています。

理想的な水中防御とは、例えるなら車のバンパーや、エンジン全体で衝突のエネルギーを吸収する車のボディ設計に近いものがあると思います。(クラッシャブルゾーンで衝撃を吸収して、浸水を水中防御内の一区画に限定する)

 

大和水中防御は?

 

まず、構造図を見た瞬間、「あ、まずいな」と感じます。

大和の巨大な船腹を考えると縦深な水中防御を期待しますが、図を見ると、薄い水中防御に何故か分厚い装甲板が舷側装甲板から一直線につながっています。

しかも、よく見ると致命的な欠陥が見えてきます。

舷側装甲板と、水中防御の装甲板のつなぎ目がありえない接続をしています。

これは、砲弾が飛び込んできた時のことしか考えていないです。
「水中防御とは何か?」を理解せず、海外の技術を斜め読みした技術者が、砲弾が飛び込んできた時の修正(改悪)を行った結果、水中防御が本来の目的を見失ったことがわかります。

 

もう一度整理すると、

1つ、柔らかい鋼板を配置すべきところに、装甲板を置いている
2つ、装甲板は薄い鋼板の上に接ぎ手を使ってリベットで留めている
3つ、水中防御の厚みが薄い

戦艦大和は魚雷の爆発・水蒸気爆発の圧力を、硬い装甲板で受け止めています。
装甲板は柔軟性がないので、装甲板を繋ぎ止めている薄い鉄板とのつなぎ目に力が集中します。

つなぎ目はリベット止めなので、全ての力がリベットに集中し、横方向に破断します。

 

装甲板がなければ、薄くて柔らかい鋼板が全体で受け止めるのに。。
装甲板を張っているばっかりに、全ての力がそのつなぎ目に集中して破断したのです。
しかも、圧力を受けた装甲板が周りの隔壁を破壊しながらズレるわけですから。。

 

伸びゆく溶接・接合プロセスと構造化技術
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/72/1/72_1_5/_article/-char/ja/
「支持材のリベットが剪断されて、鋼板が中に押し込まれて支持部材や隔壁が破損して浸水に至った」

 

「これは欠陥品です」
と宣言します。

 

(これは新しい発見ではありません。レイテ沖海戦前から大和型がの弱点として海軍関係者で共有されていました。

たしか、トラック沖でたった1発の魚雷が命中しただけで大量の浸水をしたとか。。)

 

車だったらリコールものです。
設計は平賀源内一派の福田敬二さんですか。。あーなるほど。

(Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/平賀譲
「彼が設計を指導した大和型は防水隔壁の数が過小(20年も古い長門型と同数の23)、被弾、損傷時に於けるダメージコントロールの研究も怠っていた」
「平賀の上司であった山本は、敗戦の責任の多くが艦政にあり、その原因が平賀の艦政本部復帰にあると考えていたと言われる。」)
日本の敗戦の一因を作った男として評価されるべきですね。

大和の水中防御(Wikipedia)

 

 

 

ついでに、魚雷に対して圧倒的に強かった戦艦ビスマルクと戦艦キング・ジョージの水中防御を見てみましょう。

・戦艦キング・ジョージ

艦の幅が足りないせいか、水中防御の幅が不足しています。

その代わり、隔壁が多く、圧力を上下に逃す設計になっています。

なお、プリンス・オブ・ウェールズが沈んだのは、魚雷がプロペラシャフトに命中して、ズレたプロペラシャフトがプリンス・オブ・ウェールズの船体を引き裂いたためです。

・戦艦ビスマルク

隔壁が不足していますが、ここには燃料が入れられていました。キング・ジョージに比べて船体の幅に余裕があり、水中防御の幅に余裕があります。

装甲板・鋼板は電気溶接で接続しているので、大和のようなリベット剪断の問題はありません。

 

ビスマルク、キング・ジョージの水中防御(Wikipedia)

ついでに、大和よりも設計が20年古い長門の水中防御を見てみます。

意外と優秀です。

角には三角の支持材が入れられ、繋ぎ目の弱点を補強していました。(ちょっと!大和は何故無いの?)

なお、建造当時は水中防御のスペースには石炭が入れられ、クッションになっていました。

大和よりも船体の横幅に余裕があるのか、水中防御に多くのスペースを割いています。

ただ、リベット止めなので、水中防御の装甲板・鋼板の接続は、大和と同じ問題を抱えていたと思われます。

 

長門の水中防御(Wikipedia)

 

 

ずんぐりとした船体の大和がなぜ水中防御の厚みが足りないのか。。

それは、バイタルで防御するエリアを小さくするために、エンジンを並列で4つ並べたためです。

アメリカの戦艦が煙突2つに対して、大和が煙突1つなのを思い出してください。

大和型の基本設計を考える際に、「アメリカはパナマ運河のサイズを越える船幅を持つ戦艦を作れない」と言うことを頭に置いて設計したものと思われます。

これは、間違った要求仕様無理な設計を生み出し未熟な技術者の間違った設計が欠陥を重大なものにしたと推測できます。

今日は、やたらと感情論で語られることが多い「大和の欠陥」について解説しました。

 


なお、当ブログでは、ミリタリーからウォーゲームまでを取り上げています。

現在はWorld of Warshipsをメインに取り上げています。

World of Warshipsは第一次、第二次世界大戦に登場する軍艦を操って戦うリアルなウォーゲームです。

ネットワークで世界中のユーザが接続して、それぞれの艦を操作します。おかげで毎回ドラマが生まれますのが好きです。

lot_buttleship_23s【WoWs】米戦艦ワイオミング、ソロモン諸島で逆転

 

【WoWs】巡洋艦で敵戦艦と向き合った時の対処法

巡洋艦高雄で戦闘中、スコールの暗闇で敵の大和と遭遇しました。

大和の副砲は前方にばりばり撃っていたので安心して近づきましたが、実は主砲がこちらに狙いを定めていました。

いつも、大和に主砲を撃つ時は(日本人として)微妙な気持ちになりますが、大和はおっかない艦です。

LINEで送る
Pocket