日本海軍の拠点トラック基地をよく見ると

アメリカ軍の基地・策源地のハワイ島、それに向こうはって日本はトラック島の基地だと言ってましたが実態はどうだったでしょう。

 

海軍基地トラック島の実態

海軍基地と言われるには以下の5つの要素が必要です。

 

物資集積所と荷揚げの港湾設備

結構信じられない話ですが、日本海軍の一大拠点・策源地にも関わらず。。荷揚げをする港湾設備が無かったと聞きます。

Wikipadia トラック空襲

「トラックには本土の港湾や真珠湾のような整った荷役設備は無かった」

アメリカ軍艦載機から撮った写真を見ると波止場らしきものはありません。せいぜい桟橋程度です。

船から荷物を下ろすときは、港湾に直接下ろすのではなく、荷揚げ用の小舟(バージ)を経由して、荷揚げしていたようです。

 

艦艇を修理するドック

トラック島には浮きドックすらなく、ガダルカナル島で損傷した日本の艦艇は、トラック島を経由して日本に修理に行かなければなりませんでした。

 

艦隊で作戦を行うための燃料の備蓄

トラック島の備蓄燃料は約2.4万トンです。一見多い量に見えますすが。。

Wikipadia トラック空襲

「燃料タンク3基焼失 – 燃料油約1.7万トン 上記タンクを含め燃料物資等補給品の内75%を喪失。」

沖縄特攻に出撃した大和は片道4000トンとも、武士の情けで6000トンの燃料を搭載して出撃したとも言われています。

呉軍港から沖縄への距離よりも、トラック基地からガダルカナルへの距離の方が圧倒的に長いです。大和が出撃すると、駆逐艦数隻しか護衛に付けられないですし、武蔵が随伴するなんて夢物語でしかないです。

ちなみに、真珠湾奇襲で南雲機動部隊が無視した真珠湾の備蓄燃料は60万トンです。

Wikipedia 真珠湾攻撃

「太平洋艦隊は戦闘時で1カ月あたり50万トンの燃料を消費する」

基地を守る航空基地・航空隊・対空設備・砲台群

トラック島がアメリカ機動部隊の攻撃を受けた際に、島には159機(+保管機200機)の飛行機がありましたが、敵は600機近いので全く歯が立ちませんでした。

また、アメリカ戦艦部隊に島に居た艦船が攻撃を受けています。

つまり、敵の艦船からの攻撃から、島と艦船を守る十分な砲台・要塞群は存在しなかったと言うことになります。

 

 

基地を維持する人々の生活エリア

トラック島の基地の写真を見ると島が小さいです。

こちらがトラック島、周囲は珊瑚礁の環礁で囲まれています。

こちらはハワイ島。

トラック諸島の外環部のサイズと、オワフ島のサイズが一致します。

日本がどれだけ本気をつぎ込んだとしても、基地を作る土地の面積の問題、飲料水の確保の問題がありました。

実際、トラック島がアメリカ軍の機動部隊に空襲されたとき、パイロット達は別の島で慰安中だったという話も聞きます。

 

連合艦隊司令部と戦艦群

とても、策源地とは言えない基地なのに、そこに大和、武蔵、長門の3隻と、連合艦隊司令部を置くというのはどう考えても頭がおかしいです。

この3隻だけで、8000名を超える乗組員の衣食住と、居るだけで消費する燃料を本土から輸送する必要があります。

この3隻の補給に使う輸送船があるなら、トラック基地を強化する資材を輸送することに輸送船を使った方が良かったでしょう。

 

ガダルカナルでの戦いで、日本は機動部隊を出し惜しみしたことが良くありますが、これは作戦に使用出来る燃料に制限があったことも一因とされています。

山本長官が栗田司令が金剛で行かないなら自分が「大和でヘンダーソン基地を砲撃する」と栗田司令を恫喝します。でも実は、大和を動かす燃料はありません。

 

輸送船による補給網無視の海軍

島の要塞化は、要塞建築に必要な資材を積んだ輸送船をどれだけ送ったか、要塞建築に関わった人の数に依存します。

またトラック島だけでなく、後詰めをするマリアナ島、パラオ島、硫黄島についても要塞化が必要です。

日本海軍はこの全てを放棄して、遥か彼方のマーシャル諸島、ガダルカナル島、ニューギニア島で戦っていました。

輸送船は補給線が長くなれば長くなるほど、多数の輸送船が必要です。

しかも通常、輸送船は本土から直接行くのではなく、中継の島で一旦、荷を降ろし物資を集積し、そこからまた別の輸送船に積んで、目的地まで輸送します。

その中継地点に荷役設備が無く、積み下ろしに手間と日数を食うとしたら、ますます多数の輸送船が必要となります。

 

戦争を戦うには、戦争経済の維持しながら、前線を維持・強化する補給網が大事です。当時日本は民需分の船舶にも不足していました。

海軍は南進のために調庸した輸送船を、戦争経済のために当初の計画通り民需に戻すべきです。

調庸した輸送船は、補給の限界まで太平洋の離島に進出することではなく、いつかは始まるであろうアメリカ軍の反攻を叩き潰す準備に使うべきでした。

 

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